身内の不幸、阿公のお葬式
宗教激戦区台湾において、阿公は無宗教でした。
生い立ちが不幸で無学だったけどとても聡明で努力家で読書家だった。宗教に関してなにかコメントした阿公を思い出せない。家族内宗教戦争が万年冷戦状態だったのに。だったから?
なので阿公が亡くなった時、まだらぼけの阿媽がキリスト教を指定してきたのには驚いた。仏教式は面倒臭いからという理由で。ていうか阿媽、あなたの宗教はいいんですか…?ってみんなが思ったけど黙っていた。
キリスト教のエキスパートを抱える我が家なのでキリスト教式全然没問題。なのにキリスト教式でまっすぐいかないのがこの国、ていうか、うちんち?箇条書きにすると
- キリスト教式なのに遺族はカンフーマスターみたいな黒の貸衣装を着た(ちゃんとプレスされてはいたが加齢臭がすごかった)
- キリスト教式なのに子供にお札と魔除けの草が渡された
- キリスト教式なのに仏教カレンダー参照で割り出した超朝早い告別式
- キリスト教式なのにまっすぐ家に帰らず寄り道をしろと言われた(朝8時に)
- キリスト教式なのにその日着ていた黒いポロシャツを寄り道した場所で捨てて帰れと指示があった(そのために無地の黒のポロシャツを家族全員分探して買った。意外と無いもんで、探すの苦労した)
- キリスト教式なのにお墓は仏教式
もちろん誰も賛美歌なんて歌えません。あとおもしろかったのは、カナダから参戦したいとこ女子ふたりが台湾語わかんないからって牧師さんのありがたいお話が全部國語だったこと。阿公國語わかんないYO!
そんで二番目と三番目のオバっていうのがいて両方ともヨメなんだけどこいつらが常に癌で、今回ももちろん黙ってないわけで、面倒だから箇条書きにすると
- 二番目、100万する骨壷を業者から二つ返事で購入(あんなもんがそんなするわけねえだろとオットと三番目が業者にいくばくかのカネをつかませてキャンセルに成功)
- 二番目、告別式の日は酉年である自分と娘(阿公の孫)にとっていい日じゃないから出ないと欠席(孫は出た)
- 二番目、納骨の日取りが自分と娘に良くないとゴネまくる(←いまここ)
なんかお墓の場所(先祖代々の墓とかじゃなく、個人個人で場所を変えていいルール)とか納骨の日が仏教カレンダーと風水であれこれ関係してて、その参加者にとっていい日&いい場所じゃないと、その参加者やそのひとの子供の出世に影響するんですって。ばかばかしい。
平たく言うとみんながみんな、阿公の冥福を祈るとかよりもむしろそれを利用して自分の子供が栄える日取り&場所にしたいわけ。最悪ですよね。阿公に詫びろ馬鹿者ども。これが台湾の仏教の教えなんですかね?広めたやつ誰?葬式仏教国ジャパンの出身の俺でも憤りを感じるんですけど。なにこの死人に口無し文化。全員呪われろ!
どうしても自分のいいように事を進めたい二番目(阿公はサイボーグで永久に生きていていいけどおまえは死ね)がオット(オットの父親は長兄でずっと前に亡くなっているけど唯一の跡取りなので「大房」)に電話してきて
オバ「J(オット)、昨日夢に阿公が出てきた」
オット「へえ!阿公はなんて?」
オバ「自分で考えなさい」
ハハッ、超ビッチ〜。
オットはそっこー会社をサボって阿公の霊前(告別式で火葬は終えているので納骨まで業者の「集合祭壇ホール」的な場所で骨壷をお祀りしてある)に行ってケータイのムービーをセット。廟とかでやる例のおみくじ方式で阿公に質問
オット「阿公阿公、納骨の日だけど6月5日がいい?」
おみくじ阿公→ 返事はノー(x2)
オット「阿公阿公、じゃあ15日?」
おみくじ阿公→ 返事はノー(x2)
オット「どっちもダメなの?じゃあ僕が決めていい?」
おみくじ阿公→ 一発イエス
その奇跡のムービーをふたりのオバどもに送りつけて絶句させたらしい(そんなことで運を使わないでほしい)。まあそれでオットが熟考&アレンジした日にちは連休前で、阿媽の指示で日帰りで台南に納骨にいなきゃいけないみんなの新幹線チケットは手に入らなくて流れて、リアレンジにさらに困難を極めたんだけどそれはまた別の話。
オット超お疲れ!