おばけ阿公

亡くなる前の数ヶ月、病院で寝たきりだった阿公は生前「死んだら会社に行く」って言ってた。
阿公が亡くなった当日はバタバタしていたのもあり、社員の方達にお知らせしなかった。勘のいいひとたちは気づいてたと思うけど病院のフライング危篤で家族が招集させられて無駄足だったことが何度もあったから、またか?的なかんじで話題にも登らなかったはず。

その翌週、落ち着いてから業者の祭壇のほうに社員の方たちが来てくださった。

その中に最近入社した女の子がいて、その子は阿公が亡くなった日に、オフィスで阿公を見たんだって!

その子が入社した時は阿公はすでに病院にいて、その子は阿公に会ったことがない。ただその日、オフィスでおじいさんが歩いているのを見たんだって。なぜこんな高齢のおじいさんが…場違いだなあ入り込んだのかなあ誰の関係者かなあと思ったそうだ。それで祭壇のおじいさんの写真を見て、あっこの前オフィスにいたおじいさんだ!ってなってんだって。

おじいさんずっと行きたかった会社に行けてよかったなあと思った。