一家離散

朝の散歩で公園に行ったら白次男がいた。

極道一家は朝の涼しい時間は公園入り口のステージっぽいところにいます。その裏手に大きめの木があり、その下のほうは茂みになっていて、隠れやすく涼しいため、地形的に野良犬にうってつけなのでした。そのいつもの場所に白次男が、いつものように座っていたから、ああ極道一家無事だった、と思ったの。

なのに白次男しかいなかった。

白次男はひとりぼっちで、いつもの場所でみんなを待ってるみたいだった。7人家族の全員が台風にやられたとは思わないけど、ステンレス製の重たいゴミバコが数十メートル飛ばされるほどの台風だったことを思うと、なんらかのアクシデントでみんながばらばらになってしまった可能性は大きい。ばらばらに逃げたのかもしれない。まだ帰ってきてないのかもしれない。公園の裏手は山だから、隠れる場所には困らないだろう。ただ心配なのは、台風でなぜか異様に気温が低下したことだ。雨にぬれて体力が落ちたところで寒かったから、子犬がヤバイかもしれない。子犬のそばを離れなかった白次男だけがここにいるのが、なんか不吉な感じで。

なのにウチのムスメさんは、いつもいつも怒られるとわかっていながら白次男に突っ走っていって、白次男は上唇をめくってキバを見せて凄み、ウキャーと走って逃げ、また戻るのでした。肝試しか?何度もやるうちに白次男も怒るのがバカバカしくなってきたらしく、座ってしまった。近づきすぎると怒るけど。なぜ怒るんだろう。ひとりぼっちなのに。後ろの茂みの中には誰もいないのに。

りょーが天真爛漫に白次男肝試しをしているのを見ながら、まあ他のメンバーが戻ってくる前に白次男とムスメが少しでも打ち解けられたらいいか…と、まだ希望を捨ててない自分に気付いてなんだか妙な気分でした。あんなことで石田純一は死なない。石田純一は妻子を捨てない。いや犬のほうな。