オットの客

オットは滅多に客を家に呼びませんが、昨夜呼んだ。おでんにした。

取引先のエンジニアさん。30代前半独身タイワン人男性。りょーは男嫌いだし、過去にウチを訪れた水道屋とかに悉く爆吠えしたので、大丈夫かなと思ったら、大丈夫どころかそのひとがイスに座るなりその膝に乗ろうとしてたまげた。りょーちん、そのひとは他人よ?!

しかしそのひとは犬が好きでも嫌いでもないひとで、あたしらがあまりに甘えるりょーを「りょーちんダメ!」と止めようとすると、「大丈夫ですよ!」と言ってくれるものの、その態度はどー見ても「ああダメなんだ…」とわかるアレで、二重に困った。犬がイヤなら犬のいる家に来なければいいと思ったもんだが、イヤならイヤだと言ってくれないのも困るもんだなあ。でもこのひと、どこから見ても草食動物系(野良犬を蹴飛ばすところが想像できない。野良犬に遭遇したらむしろ逃げるタイプ)だったので、りょーでなくともナメてかかるのは当然だ…と思わなくもなく。

客がいる → パパママが本気で自分を叱れない → 祭り、ということを知っているムスメがお客さんを見る顔は、公園でおでんを食うカップルにへばりつく野良犬のそれでした。イヤー!!! カムバック品性!!! なのでしかたなく、絶対取れない禁断のコングを与えました。ドギーマンの6本入り牛皮ガムの端を無理矢理コングに突っ込むだけなんですが。でもこうすると、食い進むうちに、突っ込んだところがコングの中に入ったまま、決して取れなくなるのです。ホントに取れない。あたしでも取れない。事後処理としてラジオペンチでヨダレにまみれてふやけた内容物撤去のための超格闘を強いられます。だから禁断。それで2時間ほどお客さんのことを忘れてくれました。

しかしムスメさんは飽きる。2時間も焦らされた末に当然飽きたムスメさんはなんと、ソファでオットとミーティング中のお客さんのとなりに行って、甘えてねそべり、腹を見せたのでした!!! どうなってるんだよ!!! 笑って撫でてくれるお客さんに気をよくしたりょーは、お客さんのヒザに顔を乗せて眠ってしまいました!!! りょー、もしかしてそのひとがあんたのモトの飼い主かい?!(んなわきゃあない) 夫婦驚愕。もうりょーちんは寝る時間だったとはいえ、パパの隣も空いているのに。パパといまだ成立し得ないその甘い関係を、なぜ会ったばかりの客と結ぶ…

いいんですよーと笑う、犬慣れしていない客。怒るようなことしているわけでもない、微妙なりょー。りょーちゃん気持ち悪いと訝しがるオット。恐縮する俺。複雑な夜でした。