信念とか?

こういう活動をしていると動物への接し方とか命のとらえかたとか、信念に基づくものの考え方の食い違いみたいのが出てくるのは避けがたいの。

で、先日メールが回ってきたの。キーメンバーのNの知り合いで天母エリアで野良猫にえさをやりつつ、CNR(キャッチ・ニューター(去勢・避妊)・リリース)をしているひとがいるという。そのひとが担当しているエリアのネコが妊娠したらしい。もう中絶には遅すぎると思われる(素人判断だが)ので、その妊娠猫をとっ捕まえて、生まれた子猫が大きくなるまで飼い、全員去勢・避妊したのちに里子に出したいので、その妊娠猫の面倒を見てくれるひとを募集中だという。Nはすでに4匹の子ネコを一字預かり中だから無理だから。

ちょっと待てと。

今現在野良猫の、しかも妊娠中のネコを、赤の他人の家で預かって出産させるってゆーわけ。母猫の気持ちになってみろと。母猫ってストレスたまると子猫食っちゃうんじゃなかったっけ… と思った俺は、さっそくその旨、メール送信。 「素朴な疑問なんですけど、その妊娠猫って出産に当たってひとの手助けが必要なんですか?慣れ親しんだ場所で出産させて、子猫が2ヶ月くらいになったら捕まえて去勢・避妊すればいいんじゃ?」そしたらNから怒りのメールが来たよ!(Nはちょっと神経病な白人アフリカンだからこういう返答の想像はしてたよ!アフリカから来たひとは地元で何があったか知らないが信じられないくらい強情というか人の話を聞きやしないというか、常にけんか腰だよ!)そのNいわく

「素朴な質問にシンプルな返答が返ってくると思わないで頂戴。あなたの心配はごもっともだわ。でも猫というのは出産したら2ヶ月は姿をくらますの。その後で現れた子猫を捕まえたり人間に慣れさせたりするのは至難の業なの。だから今捕まえないといけないの。妊娠猫を預かってくれる家庭には、妊娠猫が静かに過ごせる空き部屋などがあることを望むわ」

自分にできないことを他人に当然のように要求…(しかも後付け)。あたしにはない姿勢だわ。分かり合えないわけねあたしたち。

ま、シャイで争いごとを嫌うアジアンな俺にできることといったら、かつてクロネコチンを軟禁したときに彼女が決死の脱出を試みて傷つけた、窓枠の生々しい傷をメールで送るくらいよ…。こーならないといいねって、一時預かり家庭に伝えて頂戴ってね!

CNRって、野良猫を捕まえて去勢避妊して、長いスパンで結果として野良動物人口を減らすのが目的なわけで、妊娠してる動物を保護して云々、その動物の生命の危険を冒してまでやる意義が、俺には見えない。単に餌付けした過程で情が移って、過干渉したくなってるだけじゃないかなー。そう思う俺は冷たいのだろうか。仮にクロネコチンがいま妊娠しているとして、俺はクロネコチンを捕まえて俺の監視下で出産させようとは、クロネコチンが健康でいる限りまず思わないから、冷たいとかやさしいとかより、そもそもの考え方が違うんだろうけど。

妊娠猫を捕まえようが飼おうがそれはそのひとの勝手だけど、一連の手間とか責任とかが他人(=一時預かり家庭)に丸投げっていうのがまず、解せない。一時預かりが見つからなかったら、たまたまそろそろ空きそうな、AT事務所のネコ舎に押し付ける気でいるらしい。そんなんしたらネコ舎にほかのネコ入れられなくなるのに。Bもそれを見越して抵抗している。がんばれB。野良猫の出産を世話するほど事務所はひまも、人手も、ない。そしてあたしは誰にも死んでほしくない。とくに事務所では。その可能性の芽はできる限り摘むつもり。

Nだけじゃないけど、感情が先走って、合理的じゃないとか、筋が通ってないとか、後先考えてないとか、そういうのは動物と関わる作業に関わるものとして、どうなのかなあ。自分は正しいと疑わないからなんでも水掛け論になるし、でも俺だって信念とまでは言わないけど「それ違くない?」っつーのをそのままにして先に進んで「ほらだから言ったんだ」ってこと動物に関して取り返しがつかないことになる事態は見たくないから、退けないのだ。退けないっつっても小心だから抵抗らしい抵抗は、メールするくらいだけどね…

まー言ってる間に妊娠猫が姿くらましちゃうって落ちな気もするけど。 …ってそれはそれで怒られ損かぁ…