ノリスケ様、疑う


あー今日もかわいいったらありゃしねえ。日々かわいくなります。前は小さいだけでネズミみたいでしたが、今は ちっちゃいネコ様といった風情で、かわいいうえに美しいです。美しいのにかわいいと言うべきか。嗚呼、ノリスケの佇まいや醸し出す空気を的確に言い表すことのできる言葉を持ち合わせていない我と我が身を呪うよハニー。

おやつバスケット占領ノリスケ
貫禄ノリスケ

いつもノリスケに甘い俺が牙を剥く瞬間があるよ。それはノリスケが電気コードで遊んだとき。遊びたい気持ちはわかるけど、ダメなのです。なので現場を押さえて叱ったり脅かしたりしていますが、いかんせんノリスケ様はイヌどもとは違い出自が高貴でいらっしゃるので、ご幼少のみぎりであらせられるにしても、下僕の言うことなんてお耳に入れてはくださいません。ネコ様万歳!苔の生すまで!

というわけでわたくし、下僕の分際でネコ語検定1級ですから、ノリスケ様がおいたをしたときにリアルに「シャー」と言ったんです。ノリスケ様は雪の光のどけき春の陽と新緑を映し出す静謐なる湖畔の水面を思わせる眸でわたくしをご覧になり、突如として訪れた初恋の衝動に驚愕する女学生の如き戸惑いをその艶やかな眉間に漂わせると、シャーと言い返されました。あっこれは、ノリスケ様、飛び掛ってくるかもしんない、と下僕ゆえの動物的直感で感じ取ったわたくしは、さらに「ウー」と続けました。疑いを確信に変えたその刹那、ノリスケ様は高貴なるネコ科にのみ許された、しなやかな柔軟性と華麗なる跳躍を以って、食卓の上から忽然と姿を消しておしまいになられました…

おまえ、あたちに、シャーっつった…?

というノリスケ様の瞳が忘れられません。効果絶大でしたが、信頼関係にヒビが入ることは避けられません。実際あれほど俺のひざでお休みになられていあノリスケ様がこのとおり、今日はおやつバスケットを寝床にしていらっしゃいます。カムバックノリスケ様。諸刃の剣でした。もうしません。