新北投・その1

観光局の出版しているTaipeiPictorialとかそのへんの雑誌が紹介する台北の様子がおもしろくて定期購読してまして(英語版で申し込んだのにそのときによって中国語版が届いたり日本語版が届いたりする難がある)、紹介されたところを見に行くのがマイブームなのです。隔月発行なのでふた月に一度しかブームは訪れませんが。あと駅の改札に置いてあるチラシも非常にインスパイアリングで見逃せません。というわけで先月、新北投の温泉季ということで、行ってきました。

新北投へ行った目的はまずここ!台北市立図書館北投分館!リンク先は旅旅台北さんだよ。

船のような外観
意外と小振り
デッキ部

カーッコイー! 2006年末のオープン以来「緑建築主題図書館」としてぶいぶい言わせています。最近のエコ流行りの煽りを受けてか、また注目を浴びてるのかな、雑誌とかで取り上げられてるのをよく見かけます。自然にやさしいデザインとかって、どーせコンセプトだけだろ、どいつもこいつもエコエコエコエコしゃらくせぇ、と思っていたのですが、この図書館は1年のうちの3/4はエアコンを使わないとかで、あたしが行った日も実際すんごい暑かったんだけど、窓が開け放ってありました。有言実行なのです。虫とかだいじょうぶなのかな。

入り口側
側面

もともとこの敷地にあった老木を切らずに残したそうです。木を残す建築ってたいていわざとらしく、かつ恩着せがましいものが多いなか、これは押し付けがましくなくて、見事に同化しててかっこいいなと思いました。

石。

北投という地名はもともと、巫女(魔女)の地、という意味の原住民語に当てた当て字なんだそうです。そのことがこの石に書いてあります。石自体は北投で採れる珍しい鉱物・北投石が有名ということで、こういう石を作って置いたということかと。台湾にあふれる「余計なことしやがって」というかっこつけ的な蛇足にはうんざりなんですけど、この図書館は遊びなしでまじめにかっこよすぎたのでこういうのがあって逆に安心した。

室内
階段

ベンチや閲覧席はおろか、本棚もすべてデザインされたもので、気合入ってます。蔵書数が少ないから実現したのかな。でもこんな図書館ほかにねーだろ。階段も木と石で、実に北投らしい!

最近はどこを見ても金属とガラスのかっこつけ建築ばっかりだけど、台湾には似合ってないと思ってた。チンガポールはどんどん壊してガンガン作るからハイテクビルばっかりでもなんとも思わなかったけど、台湾って違うじゃん。オサレビルの前を、便所サンダル履いたおっちゃんがランニング着てバイクで走ってる日常が残ってて都市になりきれてない。なのになにかっこつけてんの?ってかんじなので、オサレビルはニューヨークとかにまかせておけばいいと思う。台湾はこういう路線で行くべき!せっかくこれだけ自然が残せてるんだから。

興奮した俺はスルーするつもりだった北投温泉博物館にも入ったのでした。ウィキ記事あった。

おなじみの外観
北投石

ここでは北投石に出会えますよ。この鉱石はそのもの自体が放射線を発してるとかで、ここでしか採れなくてすごい珍しいんだって。なんか大昔に知り合ったひとのそのまた知り合いの日本人嫁が、パワーストーン的なアレで、日本向けに北投石を売る商売で一儲けしようとしているとかいないとか聞いたことあるなあと、思い出しました。どうなったんだろ。

昔写真
今浴場

この温泉博物館は、日本時代に北投で初めて作られた温泉浴場の跡地で、なんと男性用の大浴場がローマ風呂なの。すごいセンスだよな。景気よかったんだなー。ちなみに台湾に温泉旅館を作ったのは日本人なんだそうです。

ステンドグラス

この建物を復活させようとしたときにはすでに、オリジナルのステンドグラスは跡形もなく持ち去られた後だったそうです。ほんとに景気よかったんだなあ。オリジナル見たかったな。

フック

たぶん当時のままのフック。タオルとかかけたんだろうな。ノスタルジック!!!

ポスト

現役郵便ポスト。沖縄みたいじゃね?

来年4月末までやっている特別展示「世紀風華.北投之最」がおもしろかったです。日本時代に台湾にいた日本人の方が近年台湾を訪れた際に新北投を訪れて、当時の写真を寄贈されたのが特別展が企画されたきっかけなんだって。当時の新北投の発展の様子とか、人々の暮らしぶりがわかる興味深い内容でした。当時のおもしろエピソードが満載だったよ。展示を日本語訳した冊子が用意されているので完璧に理解できまっせ!

感動を胸に、ここで帰宅していればよかったんだ。つづく。