必死猫 ノバ

ノバはベッドの上に乗ってはいけないのです。以前はよかったのです。でももうダメなのです。
なぜかって? ズバリ子供ができたから。ネコ肉球はネコトイレの砂を運ぶから。ベッド汚染するからダメ。一方的にルール改正を強いられるノバはしかし、ネコなのに恨みがましい顔を一切しません。

ノバは、たとえばベッドに上がるという行動を阻止され放り出されることについてはどうでもよく、自分の愛情がオバチャン(俺だ)に届かなかったことのもうを問題視するドM野郎なので、叱られても根に持ったり落ち込んだりしません。いかに愛情を押し売るか。いかに合法的にオバチャンに寄り添うか。それが命題という奇特な男なのです。

なのでこの日も、暑いから昼寝の際についりょーノバの寝室への入室を許してしまったのですが、ノバがベッドに上がりたがるのは断固阻止。黙ってこっそりベッドの端っこにジャンプしちゃえばいいものをノバは「オバチャン、好き。好きです。今行きます」といちいち断るのでバレバレで、押しのけられすっ飛ばされること3回、やっとあきらめたように静かになったので俺もやれやれと眠ったのでした。

そして起床。ごきげんで遊ぶむーを見てたら

えっ

…この写真だけでノバの居場所を見破ったあなたは相当なノバマニア、略してノバニアですよ…

んー?
ありゃー
「よく寝たっす」

あきらめてどっか床で寝てんだと思った俺が甘かったよ… オバチャンの負け…









というおかしなネコ・ノバさんが、なんでネコエイズなんだろう。

神様もひどいことしてくれるよ。

こんなおもしろくておまけに容姿端麗な、ものすごいいい子に、最悪の最後を用意してるなんてさあ。

ほんとにどういうつもりですかね。

病院の待合室で泣いたらY医師が「合併症も、いまは治るから!口内炎だって感染症だって、出たら連れてきなさい、治すから!」って、すげえ心強いこと言ってくれて、そうだ、治せばいいんだって思ったけど、でもこねさんもばにさんも最後は免疫不全でひどいことになって死んだから、どんなに闘病してもあの最後がノバを待ってると思うと腹が立って眠れない。

野良猫の何割がこの病気にかかっているんだろう。すでに珍しい病気じゃないくらい蔓延してるのが恐ろしい。すぐ死ぬわけじゃないしいま苦しいわけじゃないしノバだけが不幸なわけじゃないけど、将来的に飼い主としての責任とか管理能力とか判断力を問われる事態は避けられず、そのツケがノバにいくと思うと、500万くらいまでなら出すからノバをコールドスリープで2050年くらいまで眠らせて、壮年むーにノバの治療を託したい… って逃げんな。 なにこのつまんないノリツッコミ。そんなぐるぐるでわーってなってノバを見に行って元気そうでほっとしてまた泣く。

今日検査をしてわかったってだけで、うちに来たときからエイズだったかもしんないのに、今日わかったっていう事実がきついですな。小花の首根っこにかじりついてネコキック炸裂させてたノバだって病魔に冒されていただろうに。同一人物なのにあたしの目にうつる今のノバはかわいそうな病気のネコちゃんで、混乱する。まあそのうち慣れんだろ。つーか発症するまで忘れていたい。それくらいでいいはずだ。誰か催眠術師をここへ。

ノバの病気のことはオットにはないしょです。むーにうつったらどうすんのとかパニクりそうだから。俺ひとりで抱えたほうがいいと思う。わかんないけどそんな気がする。