俺はわるい飼い主

それにしてもほんとに最高でしょう、うちのりょーさん。1歳児にリードを持たせ、亀速度で歩いてあげるこのやさしさ。なにを食べどう育ったらこういう犬になるのか、育てた俺にもさっぱりわかりませんっ。一見ニコニコしているように見えますがこれは「ママたすけて」と言っている顔です。
さて初めての丸刈りだったのですがりょーは特に意に介す様子もなく、その点はよかった。マジほっとした。へこまれたらどうしようと心配してたんだ。肩下で刈ったからかな。夏はノミダニの薬つけなきゃいけないから、肩甲骨までは残したかったんだよね。それがよかったのかもしれない。犬の丸刈りなんて台湾では珍しくもないし、平穏に日々は過ぎていたんだ、今日の夕方までは。

公園で家族連れに指さして笑われましたよ。その家族連れの、中学生くらいの男子がジュースかなんか飲みながら通りすがりにりょーを見ながら「プーッ」とわざとらしくリアクションをしたんですけれど、そこまでなら俺も見逃したんですけれど、なにを思ったかそのとなりにいた50代前半くらいの母親がヒステリックに高笑いしたんだ。にらみましたがそれでも甲高い大声で「見て!あの犬!アーッハッハハ」。怒りよりもまず、このババアキチガイかと、マジでまじまじと見てしまった。普通そうでした。その顔の、りょーを蔑む表情を見たとたん、血圧が30くらい跳ね上がりましたね… 咄嗟にマネして「アーッハッハハ!見て!あのおばさん!ぶっさいく〜!あんなのでよく外歩けるよね〜!」と叫ぼうと思いましたが、そのババアの後ろに体育会系な亭主(ラガーシャツに半パンでゴルフ焼けした長身)がニヤニヤしつつも目は笑っておらず俺の顔色を伺っているのが見えたので、ベビーカーの中のむーの存在もあるし、中指をおっ立ててて腕をぐっと伸ばしガン睨みをするにとどめました。急に無言になってそそくさと去って行きました。いい母親節を迎えるがよい。できれば死ね。

ささやかに抗議はしたものの、でもやっぱ、悔しくて…。りょーをこんな姿にしたのはあたしだし…。あたしがあそこでガツンと言うべきであった、それがオーナーのつとめではなかったかと思うと後悔ばかりで胸が苦しくて、帰宅時に路地で子供を遊ばせていた近所のママさんに「公園でりょーを笑われたああああ」と泣きついた。ママさんは「はあ?!誰にっと怒ってくれた。そしてやはり「ほっとけ!」と言った。言われると思った。中指立てたことは言わなかった。

そういや、故宮に群れる大陸観光客には、プードルに間違われたよ。はかりしれねーよ大陸人。