彼の生活

息子3歳半。1年経過した、幼稚園生活をざっと。

■息子が俺を置いて去った

幼稚園でセミナー兼懇親会があった。台湾は共働き社会なので夜7時開始!9時半終了!ベビーシッターがいないのでいつも欠席していたんだけど、老師が「家が近いからむー連れてきていいですよ!」と言ってくれて逃げられなくなり、初めて出席することに。息子は夜の幼稚園に行けることで老師興奮していたが、子供は別室に集められて面倒見てもらえると知ると「ママと行く」。仕方なくセミナーに同席させることに。中国語で英語教育について語るレクチャラーの話を必死に聞く俺の横で容赦なく日本語を繰り出す息子…。開始早々なんも頭に入ってこなくなり「もうダメだ」モードに…

そこへ同学のパパさんママさん登場。 「むーはうちで息子と遊ばせたらいいのに(家が近所。彼女の家にはメイドがいる)」とママさんが言い、俺はてっきり次からこういう機会があったら、という意味だと思ってたら「よかったら連れていこうか?」。ご主人が『俺に英語の学習方法を学べっていうの?』って到着早々セミナー聞く気ゼロで、懇親会まで家に戻るついでにむーをつれていってくれると言う。悪いし、幼稚園到着時にすでに息子が「ママといる」と別行動拒否していたので「またこんどお願いするわ〜」と答えたらむーがぼそっと「行きたい」

えっ、と思い「ママ先生のお話し聞くから行くならむーだけ行くんだよ」「うん」「むーがひとりで、J(同学)のパパのクルマに乗ってJのおうちに行くんだよ?できるの?ママ行かないよ?」「だいじょうぶ」 そしてむーはほぼ他人、顔見知り程度でしかないJパパについていってしまったのでした。

振り返りもせずに!!!

あいつがあたしを置いて出て行くなんてと、しばらくショックで動けなくなったお。Jママは「成長したのよ〜」と笑っていたけど。以前は絶対に離れなかったのに…。Jんちはオモチャがオモチャ屋か?!ってくらいあるの、知ってるからっていうのもあるんだろうけど、それにしてもねえ…。今後は親戚とか顔見知りによる連れ去りに警戒しなくてはいけないわ…と思いました。どの程度おどかしたらいいんだろう…

■英語

そのときのJ父母との会話、全部英語だったんだけど、むーがそれを横で聞いててカットインしてきたことにも、驚いた。幼稚園ではほぼ毎日英語の授業が1時間あるんだけど、どーせ遊び、モノにならないと思ってたのに、ちゃんと身についていたとは…英語の先生ごめんなさい。

むーが安室奈美恵ちゃんのDVDを見ていて「このお歌なあに?」と聞かれたので「んー、お歌のお名前は、Big Boys Cry だよ」と適当に答えたら「…なんで?」「えっ」「なんで泣くの?」すごいな意味のほう聞いてくるのか…3歳で…と、親ばかとかより、素で、教育の差を思い知ったかんじ、ジェネレーションギャップっていうか。今の子はすげえなみたいな。

そしてBig Boys CryはBaby Cruising Loveにかわってヘビロテ指定され、そこからがウザかった。 「おねえさん『Big Boys Cry』って言ってないよ、『Cry』って言ってない、なんか『Slide』って聞こえる」まさかの発音ダメ出し。歌だからそんなハッキリ発音しねーし!CRYだし!と言っても聞かず、毎回言い争った末「あんましつこいともうこのお歌は聞かせない」と実力行使した。

■かたや中国語は

息子は中国語の覚えが早くて他の台湾人の子と同じように授業を受け同じように宿題もこなすので、老師も彼の中国語についてはとくに言及されないんですが「むーは同学の姓名が漢字で書かれたものを見て、それがどの同学のものかが分かる」と懇親会で言い出した。

それは前から言われてたんだけど、どーせロッカーとか靴箱の位置とか、アイテムで持ち主を見分けて言ってるだけだろうと思って話半分にああそうですかハハハって流してた。そんな俺の煮え切らない態度のせいだろうか、懇親会で老師が、もっと確実な証拠を打ち上げた。

「英語の教科書に生徒の名前シール(漢字)が張ってあるけど、英語老師(白人)は漢字が読めませんから、むーが誰のか教えてくれるんですよ!もう最近じゃ『じゃあむー前に出て、課本を同学に配って』ってやってもらってるんです」

えー…。たしかにそれはすげえな…たった3文字の字面の細かな違いで、15人分、完全に単なるアイジャッジメントで区別できるんだー…。すごいけど、きもちわりいなあ… (←本音) 軽く引いてたら他のお母さんに「知ってた?!」と聞かれ「信じてなかった…」と答えたら失笑された。 「むーは漢字に強いんだね!」とみんなニコニコ言ってくれたけど、病的な細かさの現れとかだといやだし、なーんかキモいですね… ていうか老師がちゃんとチェックしてなかったら間違えててもわかんなくね?園児の教科書なんてすごい書き込みしてあるわけじゃなし、自分のじゃなくても気づかないだろ。あ、親が宿題チェックのサインする欄でわかるか…

画像は息子が初めて書いた、漢字っぽい字っぽいもの。自分の名前だそうです。たしかにこういうつくりが入ってはいるけど、丼って字に見えておもしろい。赤いのは粘土。クルマなんだってさ… 「桃かわいい!おいしそうな桃〜!」ってしつこく言っていじめたら怒ってあとでタイヤらしいものをくっつけていた。

作品の台紙に名前を書こうとしたり、宿題が終わると日付を書くのは老師のマネらしい。数字はまだ習ってなくてもけっこう書けてる。アルファベットは習い始めたところなので大文字・小文字かき分けるしかなりのもの。漢字は中班から注音をやるので練習はまだだけど、幼稚園で習った簡単な漢字は見分けて、見かけると「泥土の土〜」とか「臭脚鴨の脚〜」などと教えてくれる。

■玩皮

で、なぜか「玩皮」と言われることを泣くほどいやがります。むーと遊んでいて、オットがむーのしつこさとかにうんざりして「你很頑皮ねぇ」なんて言ったらもう泣きます。まずあたしに言いつけに来る。 「ママ…パパがむーちゃんのこと玩皮って言ったの…むーちゃん玩皮って言われるのいやなの…」「じゃあ玩皮って言わないでってパパに言えばいいじゃん」もうこの時点で会話の中に「玩皮」が3回出ているので、むーは涙目です。めんどくせえ…なんなんだよ。玩皮なんて別にそこまでひどい罵り言葉じゃねえだろうが。

なのにそんな意味不明の悲しみに暮れて「むーちゃん玩皮いやなの…パパいやなこと言うの…ママ怒って…」などとめそめそするから俺もキレて「だから!!!自分で言いなよ!!!あとさあ!!!むーさっきまでパパと楽しく遊んでたじゃん?!玩皮言われたくらいで機嫌悪くなんのおかしくない?!ちょっといやなことがあったくらいで文句ばっかり、ママに言ってもしょーがないじゃん!そんなんじゃみんなむーと遊ぶのいやになるよ!つまんないことでケンカするな!2人が仲良くしないのはママはいやだ!」と主張したら「うわーん」と泣くのであった。そしてパパが「あーむーちゃんこっちおいで、パパ抱抱」(←甘い)いいところを持っていくのであった。

それでもまたうっかり「玩皮」と口走って同じことを繰りかえすのであった。言うなよ!!!

■林叔叔その後

息子のスパイダーマンパロディTシャツに軽口を叩いて息子を泣かせた林叔叔事件についても、老師から言及があった。

老師によると林叔叔はランチのたびに配膳のヘルプに入るのだが食べるのが遅い子に「まだ食べてんのかー。持ってっちゃうぞー」などと言って子供をびびらせ、よく泣かせているらしい。あと子供の着ている服についてけっこうコメントするらしい。老師はむーが言われた時もそこにいて、むーに背後から「ちがうよお洗濯してるのって言いな!」「かっこいいお洋服よって言いな!」と腹話術状態で林叔叔と対峙できるように援護していたそうで。

たしかにオットに林叔叔について話したときも「ああそれは…台湾の典型的なおじさんってかんじだね…子供にしつこいこと言うのとか」。社会にはそういうしつこいおっさんもいる、という点で、息子に学ばせるにはいい教材とも言える、と俺も納得し、学校に文句を言うのはやめたのだが(それにしても幼稚園の人材としてはどうなの?とは今でも思っているが)

そういうわけでむーもかなり言い返せるようにはなってきているらしい。「ではあのTシャツは本人が嫌がっても今後も着せるべきなのですね」と俺がややぐったりして言うと老師は力強く「そうしてください」…でも着たくないって泣かれたんで幼稚園に置いておく置き着替えとして持たせることにします!!!(逃げアンド丸投げ)

話を聞いていたほかの母親もちょっと呆れたようにあたしに「叫むー跟林叔叔說去找別的小朋友啊」って言ってて「は?林叔叔意味わかんね」ってかんじだったので少し溜飲を下げたのであった。

老師が一応「子供たちも林叔叔ご本読んで〜って彼を囲んだり、関係が悪いわけじゃないんですよ」ってフォローしてたけどねー

あと何ヶ月かで弟ができるし、日本語中国語ともに語彙も増えてるし、彼の生活もこれからまたどんどん変わっていくんだろうなあ。