ドキュメント出産、2013年 〜予兆&陣痛編〜

 オッパイキャンプ@新光

★グロ表現注意★

かつてわたくしはここ台湾で最初の出産を経験し、台湾で出産される日本人ママさんの参考になればとそのときの思い出をここでつづりましたが、後に続くひとをいたずらに怖がらせてはいけないと、恐怖経験は伏せて意図的にサラッと書きました。でも今回、前回の恐怖経験があったからなんとかなったことがあり、同じ人間が妊娠しても毎度違う事もわかり、日本の常識とかとも違うんだろうな、こっちで生活してる時間が浅いのにこっちで産むひとは戸惑うだろうなと思いまして、まあ何が役に立つかわかりませんから赤裸々に書くことにします。

出産ドリーム入ってるドリーミング妊婦は不安になるだけだから読むな。いろいろシュミレートして不測の事態に備えたい妊婦だけ読んでくれ。幸運を祈る。

キーワードは 微弱陣痛、陣痛促進剤、陣痛の痛みがわからなかった です


4年ぶり2度目の出産が迫ったころ、看護婦から事前の説明があったのですがそこで心に引っかかったことがありました。

「陣痛が10分間隔になったら来てくださいね。でも陣痛もひとそれぞれです。痛いだけじゃなく、むかむかするとか腰がだるいとかもありますので、よく観察してください」
便意、または肛門にうまく力が入らない、コントロール出来ない感覚も出産の予兆の1つです」

ふーんと聞き流したコレが後で重要になった。

出産の予兆としてメジャーな出血(おしるし/落紅)が、出産の6日前にありました。そこからすぐに前駆陣痛が来るのかと思ったら来なくてねー(長男の時は前駆陣痛→出血(おしるし)→2日後に破水&マジ陣痛&出産)。今回は:

  • 6日前:なんかドロリとした茶色い出血(鮮血は新しく、茶色いものは時間が経っているらしい)
  • 2日前:夜に出血(破水かと思ったけど少量で鮮血な出血のみ)、不規則な軽い痛みだけで陣痛はつかず、少量の出血が続く
  • 当日朝:いててててて、と目が覚める痛みと、恥骨裏でなにかが蠕動するような感覚にびびって飛び起きる。うんこしたい。これやばいんじゃね?と思う

うんこ…していいのか?いきんだら出ちゃったりしない?と不安になりつつ陣痛らしきものを待っていたら便意は引っ込んだ。その後も陣痛とも呼べないダラダラした軽い痛みだけで病院に行く理由が見つからず。ネットで経験談を見ていたところ「恥骨裏でぜんまい仕掛けのオモチャがうごいている感覚」から出産に至ったひとの書き込みがあり@小町、やっぱアレ普通じゃねえよなと、フライング覚悟で病院に行くことに。ランチ買って帰ってくるわ、と母に告げたそれが、戻れない道だったことはこのときの俺たちは知る由もなかった。

通された陣痛室で俺のまんこに指を突っ込んだアニメ声の助産師に「お母さん、入院ですよ〜3センチ開いてます〜☆」って言われたときは驚きました…。たぶん2日前の出血、あれすでに開いてたんじゃないかな…。規則的な陣痛がつかなかったあたしは、すわ破水?!なイッパツと、ぜんまい仕掛けのオモチャが恥骨裏に?!なあの妙な感覚、あれがキーだったようです。陣痛…ひとそれぞれなんだなあ、それにしても一向に痛みが増さないよ… これ長丁場になるだろうなあ、と試合開始前からぐったりな気持ちでいた、これが午前11時すぎだったかなあ

腹の張りをモニターしながら1時間も放置されていたでしょうか。担当の助産師(アニメ声じゃない)が入ってきて「陣痛つかないみたいなんで促進剤入れますね」あっさりと。まだ来て1時間の俺に促進剤をと。「それ…痛いんですよねえ…友達が経験しててすごい地獄だったって…」と言うと助産師「ええ、痛いですよ!痛くなんないと生まれませんから」あそっか。そりゃそうだな。そういえば前回陣痛室で全開間近で陣痛がマックスだったとき助産師に「促進剤を入れてくれ早く終わらせましょう」と懇願したのを思い出した。ダラダラ痛いよりガツンとやってもらったほうがいいな。やっちゃってくんな。

点滴で血管を確保してあるので、そこに促進剤のパックをつないで「まず3単位から始めて様子見ますね」ビビる俺に説明してまた消える助産師。3とか言われてもわかんねえけど。ふーんと思ってたら来た。軽く痛いのが規則的に。すげえな科学のちから。オットにモニターを見させると3分間隔らしい。すごいじゃん。でも全然痛くない。痛くないのだ。なのに3分間隔なのだ。これ家だったら「こんなの陣痛じゃねえ」ってメモも取らないレベルの痛みだよ… 気合の入った生理痛のほうがまだ痛いよ。

しかも眠い。陣痛と陣痛の間の3分で寝こけてしまうほど眠い。日本の出産経験談とかで、微弱陣痛が長引いて体力を使い果たした妊婦が寝そうになると「陣痛が遠のくから寝るな!」って助産師が怒るという話をけっこう聞いていたので、様子を見に入ってきた助産師に「痛みの合間に眠くなるんですけど…」と言ったら「寝れば!」との返事。やっぱこれから先、長いんだなと勝手に解釈して寝た。昼下がりの暖房のよく効いた各駅電車くらいの勢いで爆寝。

この妊婦はダメだと思われたのか、そこで担当医登場。その背後で看護婦がピッピピッピ、3って言ってたユニット数をすげえ連打で一気に9まで上げていた。オマエ俺を、どうするつもりだ。3の約束はどうなった。そんで担当医が内診。内診もね、ベッドの両脇の手すりみたいのに両脚を掛けさせられてね、カエルのようなポーズでね、そこへ指何本かしらないけどズッボーーー!!!うぐあ!!! 悶絶する俺。ぐぅりぐぅりぐわぁ!!! その状態でよ?

「じゃあちょっといきんでみて〜」

無茶言うなよ!!!

妊娠中から腰痛がひどいんだけどこのカエルポーズ自体が腰に激痛をもたらすのよ。腰割れそうよ。内診の痛みプラス腰痛でまんこ、いや、彼の狙いは子宮口です、子宮口ぐりぐりで、いきめって… できるか!!! でもやんなきゃ止めてくれないでしょ?でもいきむためにはいままさに空前絶後の拷問を受けているその場所に神経を集中させないといけないわけですよわかる?もう必死でう〜んっつって。それでなにを納得したのか担当医は「あと1時間くらいかなっ」軽く言って。

感覚的には全然こんなもんじゃないのだ。俺は経産婦だ。わかるのだ。でもあと1時間って…。そんでみんな、俺とオットを放置する前にかならず言うんだ、「うんちしたい感じになったら言ってね!」浣腸でもするのか?と思ってた。4年前のときは陣痛室に入ってすぐ浣腸して排便させられたけど今回まだだから。陣痛の痛みすらなんだかよくわからない俺にうんこしたい感覚がわかると思えないし、浣腸するならもうさっさとしたほうがいいんじゃないかなあとか思ってた。結局今回は浣腸はナシだった。4年の間になにがあったのだろうか。

その後も子宮口を柔らかくする薬を入れられて、こんなに科学の恩恵を受けても、俺のこれは自然分娩と呼ばれるなんて片腹痛いわとか思ってたらなんかいきなりビバルディの春が鳴り響いて、どこのバカが?こんなうるさくされたら気が散って陣痛つくもんもつかないわ(怒)と思ってたらそれは看護婦さんたちのチェンジングシフトの合図の音楽だと知るのは産後、病室で同じ音楽を何度か聞かされてからだ。時刻は午後2時。

オットがなにごとかと陣痛室の外の様子を伺うと、担当医がナースステーションで電脳で遊んでいたそうだ。「アレ絶対キミ待ちだよ…もうすぐ生まれるみたいだよ」「そんなわけないよ全然痛くないもん…」「でも先生そこから離れないよ」そしてオットは病室を出て先生と世間話をしたのであった。気が立っていた俺は心の中でオットを呪った。

そんでなんか破水したんだっけな?順序忘れちゃったけど、ビバルディ聞いたときは陣痛室にオットとふたりだったんだけどその後なんか急にわーっと人数が増えて、助産師と女医が急にいきめいきめ言い出して、オットに俺の頭を抱えていきむとき支えろとか言って参加させて、呼吸が早過ぎるだの次に陣痛が来たらスッと息吸ってふんぬっといきめ、いきんだらそこで停めて数かぞえるからそのままいきみ続けろ、そんで息吐いたらまたスッと吸っていきめ、違うそうじゃない声は出すなって、急に!その指示さっき俺が眠いって言ってたときに打ち合わせしておいてほしかったもんだわ!!! いきなり急に矢継ぎ早に指示出されてもできねえしそもそも痛くないんだよ!!! 陣痛来てるかどうかわかんねえんだっつの!!! 陣痛来てる時にいきまなきゃ意味ないけど、痛いのがわかんないんだっつの!!!

あーもう!違う違う!とか、うんちするみたいにだってば!とか、もう1回!続けて連続でいきむの!とか、もっと深く呼吸しないと赤ちゃんに酸素がいかないよ!とか、急に罵倒されまくって、キレかけた俺でもわかったことは、この腰の痛みから逃れるためにはこいつらの望む通りにいきみまくって赤子を押し出し分娩室に行くしかないということであった。全然痛くない俺に対してこいつらは今でしょ!状態なのだ。そこに認識の差があったのだ。出さなきゃこいつらに怒鳴られて怒られるのが長引くだけなのだ。腰も痛い。ていうか腰が痛い。カエルの姿勢でいきまされているからだ。

そこからはやけくそであった。まんこよ裂けろとばかりにいきんだ。陣痛とか相変わらずわかんなかったけど3回くらいいきんだら助産師が「緩んだ」と言った。そしたらみんなが一気に離れた。俺になんかいろいろバサバサ掛けられて、ベッドがストレッチャーになって動いた。分娩室に行くのだ。すでに陣痛室を出ながら俺はオットに叫んだ。「カメラを忘れるな。メモリーがもう少ないかもだから替えのメモリーカードも持ってこい」「えっなに?メモリー?」「メモリーカード!カメラと一緒に持って来て!」冷静だ。だって痛くないんだもの。

助産師が分娩室へ行く道すがら俺のまんこに片手を突っ込んだままだった理由はわからない。