ドキュメント出産、2013年 〜分娩室&地獄の産後編〜

 恐怖の月子餐:豬腳っていうかひづめ
 ウコッケイの脚(爪は取ってある←親切?)

☆閲覧注意☆ 痛い表現があるよ!

いままでのあらすじ:陣痛がつかないまま妙な出産の予兆を得てフライング覚悟で病院に行ってそのまま入院、促進剤を入れられるも痛みがわからないまま全開となり分娩室へ向かうストレッチャーの上のひととなったのであった


分娩室へ行くストレッチャーの上で俺は内心ガッツポーズをしていた。日本だと分娩室に入ってからもう一悶着あるらしいけど、台湾では、少なくとも俺が生んだ病院では、陣痛室でふんばり倒してギリッギリまで押し出して、ホントに最後だけ分娩室でやる。そこは出して縫う部屋。あともうひとふんばりでこの痛み(@腰)から開放される、脚が伸ばせるのだ。長かった辛い妊娠生活からもおさらばだ。涙が出そうだった、マジで。赤ちゃんに会える♪とか一切無かった。ごめんな!母はひとりの体に戻りたかった!

分娩室に入るとストレッチャーが分娩台に横付けされて、乗り移らされます。(4年前、産科セクション改装中だったんだよな、古い分娩室は薄暗くて古臭かったけど、たしかにキレイになったわタイルとか新しいわあ)と部屋を見回す俺(余裕)。担当医がアシスタントの女医に手術衣の紐を結かせながら、なんかすっげえ長い注射器に薬品を入れているのが見えた。(まんこ用の部分麻酔か…先生が珍しく医者っぽいことをしている…)と思っていると前に回って笑顔で「麻酔するね〜下の方に多めにやっとくね〜」ズタズタに裂けること前提での発言でしょうか。勘弁してよと思いつつブスブスやられてたら(痛い)陣痛っぽい波が来てウッとなる俺。「あ、痛いの来たね?ふんばってー」慌ててスタンバる先生。駆け寄る参加者たち。短い陣痛の合間にしか作業ができないので分娩室では動作很快です。

担当医以外の参加者全員が俺の腹を押していた気がする。前回俺は腹を押される必要はなかったのにその場にいた若い男医者に腹を押されて殺したくなった(担当医も助産師も全員がそいつに「不用不用!」と叫んでいた。十月十日守り通した腹を見ず知らずの男に無断で押されては殺意を抱くのは当然といえましょう)その一件をいまだに根に持っていますが今回はもう全員が押す気まんまん。ダメだ、殺られると思いました。もうまんこよ裂けろ、骨盤よ割れろとばかりにやけくそでふんばりました、2回くらいかな。出さなきゃ終わらない恐怖感しかなかった。腹押しレースに入りそびれた助産師が俺の横から腹の上部分を、乳方向から下に押しながら「あたしの手をお腹で押し返すつもりで!!!」すごいこと言うなこのひと…そんなことができる腹ってどんな腹だよ…と一瞬呆然としつつ。

そんで出ました。擬音つけるとすると「ズリューーーン!!!」 てかんじ。前回の長男は「ニョロリ〜ン」だったから、どんだけ加速がついていたかって話だ。そして響き渡る「ぷぎゃあーーー!!!」の絶叫。屠殺場か?という大声で、参加者全員「好大聲!(声でかっ)」とどっと笑ってました。ホントすごい声だった。分娩室入って、すぐ陣痛来たから3分間隔だったとして5分かそこらで生んでるわけだよね。もちろんオットは間に合いませんでした(カメラは腕に覚えのある看護婦さんが持って入ってきて撮ってくれました…ご主人のお仕事の関係でひとりで出産する奥さんも看護婦にカメラを預ければ大丈夫!)

生んだら終わりと思いました?あたしも生むまではそう思ってました。ここからですよ、本当の地獄は。

そこからまた別の拷問タイムです。後産というやつです。胎盤出るよーでズルリーン!!! ぐわあ!!! あれたぶん手ぇ突っ込んで引っ張ってたんじゃねーかな見てないからわかんないけど。そんで腹を、三指つくときの指の状態で上からもーぐにっぐに押すんです、触診みたいな手つきを想像した?皮膚の上からならたいしたことないと思うじゃん? そんなもんじゃないから。10センチくらいめり込ませるつもりで鬼のように押して子宮に残った組織を揉み出すんです。それがもう痛いのなんのって!!! そんであれたぶんガーゼ突っ込んでたんじゃねーかな見てないからわかんないけど。出血してないか見ますねーズボズボズボ(入れてる)ズルズルズルー(出してる)はいオッケーとか言って。痛いなんてもんじゃないです。虫の息です。そんでまんこ縫ってた。まんこだってさっきの麻酔ってなんのためだよ?ってくらい普通にチクリチクリと痛い。そんな効かねえ麻酔、やめちまえ!!!

気を散らせたくて部屋のはじの赤ちゃん整理台みたいので処理される次男を目で追いながらまんこ縫われてました。アシスタントの女医が俺の片足を動かないようにするためか抑えながら関口宏みたいなポーズで縫い方について担当医とトーク(談笑)していてイラッとしました。足開かせられてる姿勢で腰がマジ痛いんで。まんこ処置が終わるとカンガルーケアというやつに。前回は回復室みたいなところに移されて相当待ってから保温のライトを当てながらだったけど、今回は分娩室で、ホント生んですぐに湿った温タオルと一緒に乗っけられた。青っぽい、生まれたばかりで妙に手足が細くてブヨブヨしてて髪が濡れてニヨニヨ張り付いた糸目の赤子を近づけられたとき、思わず「うわっこっち来んな」と思ってしまい、そういう顔をしてしまったので取り繕うためについ「とても宇宙人ぽいですね…」と口走って笑われた。余計なことは言おうとしないほうがいいです。赤子をつつこうとして出した手がブルブルしてた。酸欠。前回は酸素チューブを鼻につけたほどだったので、うわぁと思ったけど深呼吸数回ですぐ治ってホッとした。

しかしなぜ、分娩台上で赤ちゃんを抱っこさせてから、ストレッチャーに乗り移れと言うのか。「…あたし赤ちゃん乗っけてますが…」と言うと「知ってます。大丈夫信じて。あたしの腕を掴んで。引っ張るから。足を外してあとから乗せて」できるもんですな。赤ちゃんズレたけど。そしてまた陣痛室へ戻って経過を観察するためにしばらくそこに放置されます。

そこから腹が痛むのなんのって…。これが噂に高い後陣痛か…と鼻の穴をふくらませる俺。子宮が収縮する痛みなんだそうで、痛くなかった陣痛より痛かった。赤ちゃん抱いてる感動とかより腹が痛い。いつまで赤ちゃん抱いてないといけないのかと負担に思ってオットに赤ちゃん引き上げ時間を聞きに行かせたほど(「あなたたちはいまアホみたいに赤ちゃんの写真を撮っているはずでしょう」とナースに言われた)。とにかく痛いんで!止痛薬を出してくれ!赤ちゃんはあとでいやってほど授乳室で会うからぶっちゃけどうでもよかった。

そんなに痛いなら出すけどみたいなかんじで1錠出されたけど「子宮の収縮のような痛みに鎮痛剤はあんまり効かないよ」と言われながらのいやいや処方だった。病室に移ったら投薬が始まるからその前にはあんまり出したくなさそうな。なんでもいいからよこせや!と飲んだらちょっと効いた。その薬リクエストが俺にさらなる地獄を与えるのだった。

「休憩したあとにおトイレ行ってもらうことになってるんですが、お母さんそんなにしんどいなら導尿にしましょうね〜」そのセクシー看護婦は言ったのだ。前回はストレッチャーの上で寝たきり用プラスティック便器を置いて排尿をしろと言われて試みるもまんこの傷を腫れ上がらせるだけの結果に終わって結局導尿をしたので、看護婦同伴でトイレに行ったところで病人でもないので人前で尿など出ないであろう。なので導尿を了解したらこれが痛ぇのなんのって!!! 縮み上がる痛さ。思い出してもすくみ上がる。あー健康は大事だね!!! あートイレ行くんだった!!! 人体ってすごいなあ!こんなにいろんな痛いを一度に体験してもどれも新鮮で鮮烈で猛烈に壮絶!しかしそれだけにとどまらなかったのだ。

地獄の導尿のあとセクシー看護婦が俺にした所業は筆舌に尽くしがたい。いや書くのは簡単だ。彼女は俺の腹を例の三つ指で揉んだのだ。でもその攻撃はさっき担当医が分娩室でやったそれよりも数段上を行くピンポイント攻撃で、確実に!!! 子宮の中の塊を!!! 探り当てて排出する!!! 出るまでやめない!!! というものだった。グニューッ!!! と押されて手応えがあると、チキンナゲットくらいのゼリーっぽい感触の塊ピョローン、と出るのです。どこから?もちろんまんこからさ。怖い!!! 痛いし怖い!!! これたぶん普通に腹殴られるほうがマシだと思う。

相当な使い手だぜ…

まさかのラスボスよ。担当医が分娩室で俺に与えた以上の苦痛を、産後の休憩時間に看護婦が上書きするなんて。もう俺マジ瀕死。終わったあともあまりの出来事に呼吸荒くアワアワする俺にセクシー看護婦うんざりげに「はいはい、終わりましたよ!」イヤそうに言われてショックだった。あんた…いまのがどんだけクリティカルヒットだったか全然自覚ないとか信じらんない… 今日いちばん痛かったんですけど…!!! それはつまり人生で一番痛かったということだよ!!! おまえもう看護婦やめてSMの女王様になれ!!!

そのあと病室に行ってやっと人心地つけました。ここまで来ればもう大丈夫みたいな。あいつらももうなにもできまい…というかんじで。

もう1回続く。