選考外のポップ獣医の獣医たち

りょーを患畜だと思ったらしい。最初にやたら気安いメガネ医者Aが来た。

「キミいいかんじに育ってるね〜今日はどうしちゃったのかな〜」と犬相手に話しかけるキャラだったので、ここで俺が答えていいものかとふと逡巡したが「いや病気じゃないんです。爪切りに来ただけ」というと次の瞬間には姿が消えていた。根拠はないけどスネオっぽいやつだな、と思った。

爪切りを終えて支払いを済ませるとメガネ医者Bが来て「今日は緊張したけどいい子だったね〜」とこいつも犬に話しかけるキャラで接近してりょーの前に座って触ろうとしたので勝手にさせたらふと動きを止めてあたしに「この犬噛みませんね?」

お前プロだろ?と言いそうになって堪えた。「大丈夫です」と答えたら、メガネBが犬のアタマに手をかざす、あまり褒められない方法でりょーのアタマを撫でてりょーがロコツにガマンした。ので「噛みませんが男の人が苦手です」とフォローのつもりで言うとメガネBは手を引っ込めて立ち上がって1歩退いた。なんだこの病院。このふたり以外に医者はいないらしい。爪切り以外で来ることはないだろうな、と思った。