極道一家とりょー

極道一家の黒長男が、りょーに楯突きます。

極道一家の家族構成は、黒父・白母・黒長男・白次男の4名。黒父はでっかくて垂れ耳で、毛の表面が赤味がかっています。白次男は秋田っぽいでっかい耳がぴんと立ってて、父親くらいの大きさでふさふさしていてかなりのハンサムで次男だからかおっとりしてます。白母はオッパイブラブラで小柄で、争いごとの前線には出て行かないタイプです。問題は黒長男ですコノヤロウ。

極道一家の子供たちも大きくなり、公園に入っただけでは両親犬はむやみに吠えなくなりました。黒父に至ってはりょーの接近を許し、匂いかぎっこまでしても、攻撃性を見せませんでした。だから極道一家とも徐々に慣らしていけばいいか、と思ってたのに、このバカ長男がバカ吠えヤングで、公園内に我々は入っただけで遠くからワンワンワンワン、しまいにゃそばまで走ってきてワンワンワンワンうるせえんじゃ取って食うぞこの黒ガキ!!!

りょーも「なになに?なにもしてなくても吠えるの?年下なのに怖い子?」と緊張気味でそっちを注視するから余計に吠えられ、あたしは吠えられるということはナメられてるみたいでムカつくので、犬相手だけど「まだなんもしてねえだろうがーっ」と応戦。バカ長男は弱い犬ほどよく吠えるという格言に違わず、怒れるわたくしが大声を出すとビビってあたしを見ないようにして、あさっての方向を向いてまで吠え続けるヘタレっぷりがまた癪に障ります。

黒父はりょーに好意的で、あたしの顔をちらちら見ながらすこしずつ近づいてきて、りょーと鼻挨拶をして、りょーが「キャー男のヒト!!! はずかちい!!!」と言ってか言わんのか知らんけどいつものようにピャーとキャッホー逃げをすると、「カワイコちゃん、たまんねえー!」と遊ぼうポーズで喜びジャンプをし、ひーた視線のあたしと目が合い、「俺としたことが」と自制する、という、子持ちとは思えない反応を見せるのでした。その背後でバカ長男は吠え続けていますバイザウェイ。

向こうでワイフが心配そうに様子を見守っているというのに、黒父はバカ長男と同じ間合いからりょーを見つめながら「俺はいま突然ストレッチがしたくなったからストレッチをしているんだぜ…」という不自然な背伸びをして、後ろ足を伸ばしきった状態で、前脚で芝生の上をホフク前進し、りょーに接近を試みるのでした。爆笑するあたしをちらっと見て、へへっと笑う余裕まで見せる女殺し。察するに、バカ長男の脅しに緊張気味のギャル・りょーちんを怖がらせないように、これ以上無い低姿勢で接触を試みている、といったところかと。石田純一も真っ青のテクニックではありませんか。オバチャンもヨロっときたわよ。

が、黒父の熟練された女殺しテクが光りまくるその傍らにバカ長男。モテ男&ダサ男がセットで迫るのです。黒父のナンパテクが功を奏するかというその間合いをバカ長男がマネるのでムスメが退いてしまいあたしは怒鳴るから、その距離は一向に縮まらないのでした。黒父とは友好を深めてもいいけどバカ長男ムカツク、で、複雑なものがあるのです。わけがわからない。

あとわからないのは、りょーの態度。吠えられて背中の毛を逆立てるくらいなら、逃げればいいのになぜ立ち止まって「なに?なに?」とそっちを見つめるのか。相手にしてみたらそれは「あたいを誰だと思ってんだいあんたらどこの組のもんだい」と言っているようなものじゃないのだろうか。弱い犬は散歩の途中でりょーとすれ違うのさえ避けて車道に出るのに、なぜあんたは立ち向かうような素振りを見せるんだ。ちょっとばかりデカイからって、♪だーけどケンカはからっきしーだよ三級品(by一休さん)、のムスメなのに。