プロの御意見

AnimalsTaiwan のボランティアとして活動に参加してくださっている日本人獣医さんに、チビタンのことを質問させていただいたところ、ものすごく懇切丁寧なお返事をいただきました。

そのことをチビタンを連れて病院に行く前にSに話し、この件に関する台湾獣医側の返事ももらいました。チビタンのことを心配してくださっているみなさんと、このステキ獣医さんから頂いた情報をシェアしたいと思い、ここにご報告します。

まず、日本人獣医さんのご見解として、生まれつき膀胱がない犬を見たことがないし、医学書にもそういった記載がないので、もしかしたら「異所性尿道かもしれない、と伺いました。これは通常:腎臓→輸尿管→膀胱→尿道(排尿)、となるはずの経路が、先天性な奇形によって、輸尿管が膀胱を飛ばして尿道につながってしまい、溜めることができない尿が常時ポタポタする状態だそうです。子犬や子猫にたまに見られるんだそうです。この場合、膀胱は体内にあるので、輸尿管を膀胱につなぎなおせば、正常な状態に戻せます。

このことをSに説明し、獣医さんで膀胱を探してもらうよう頼みました。獣医さんもこの「異所性尿道」のことはご存知で、2軒の獣医さんを回って調べてもらいましたが、膀胱は見つかりませんでした。

というのも、チビタンが最初に路上で発見された際、お腹のどこかの臓器が表裏になるほどの状態だったそうで、そのとき緊急で処置をお願いした獣医が、手術のときに誤って膀胱を取り去ってしまったらしいのです。2軒の獣医さんで出た推測がこれでした。Sが「この子は生まれつき膀胱がない」と言ったのは、その最初の手術の後でチビタンが回復せず、別の獣医でレントゲンを撮って調べたところ、レントゲンに膀胱が写らず、胃袋に尿が溜まってたいへんなことになっていたためでした。その後チビタンはこの問題を解決するために再手術を重ね、今に至ります。

というわけで泣いても喚いてもチビタンの膀胱は戻ってきません。とても残念なことですが、日本人獣医さんのメールのおかげで、悔いの残らない調査&現状理解ができたことに、わたしは本当に感謝しています。もうどうにもならないと分かれば、よそ見しないで前進できるってもんです。

この日本人獣医さんは、チビタンの生活に関するアドバイスもくださいました。

チビタンのお腹からオシッコが出ている「穴」は、腎臓に直接つながっていることと、そのほかの隣接する臓器とも近いことから、感染症はやはり心配するべきだそうです。そのため、屋外飼育で雑菌に触れる機会が多い状態よりも、室内での飼育の方が衛生的でチビタンにはベストの状態。ですが、やはりそれはお世話が大変なので、皮膚の状態に気をつければ、オムツを使ってもいいと思うと言ってくださいました。穴の周りの毛を広範囲に刈ることや、オムツ装着時に濡れタオルで拭いてやることなどを教えてもらいました。

台湾側の獣医も、オムツに難色を示したものの、皮膚の状態を悪くさせない程度に留めるならやってみればとのことでした。また、台湾側の獣医は、細菌感染の危険はとても低いとし、屋外飼育でもだいじょうぶと太鼓判をくれました。寝る場所を清潔に保つという条件の下で。細菌感染はどうしても心配ですが、里親は探さないといけないし、そのための方針も必要でしたので、しょうがないです。

それから、ワタシは現在、チビタンを室内で飼っていて、室内で暮らしてもらうためのいろんなガマンをさせているんですが、いつか屋外飼育になるなら、そういうのはムダになるから、かわいそうかもなあとも思っていました。日本人獣医さんにそのこともお話したところ、

いずれ屋外になるとしても室内飼いのしつけもこの子の役にたつので、無駄なことじゃないと思います。しつけが行き届いたり、いろいろがまんが出来ることとかは将来きっとこの子を助けると思います。

メールの文章を、承諾もなく勝手に抜粋しました。ええひとや… マジでええおひとやー!!! 将来!!! 聞きましたかみなさん! 将来!!! チビタンの将来!!! 感動しました。よし!ガマンさせるぞ!(違う)

それにしてもこの日本人獣医さんには、ほんとうにお世話になりました。普通に獣医に足を運んだってこんなに懇切丁寧にいろいろ教えてくれやしない。それがメールひとつでこんなに… お仕事もお子さんのお世話も毎日お忙しいでしょうに、ほんとうに恐縮でした。おまけにウチの先住犬がやきもち焼いてないかまで心配してくださっていたの。スゴイ。ステキにもほどがあります。

というわけでチビタンと俺は、素晴らしい助っ人にも恵まれ、これからしあわせにならないはずがないわよね!というかんじです。いまもしあわせですけどね。もっとしあわせになります。