家政婦は見た!

クロネコチンに触れなくなりました。理由は以下のとおりです。

今日の夜、就寝前にリビングのモップがけをしていた家政婦S・29歳(俺)。作業中に飼い犬のR・雑種4歳が玄関に向かって吠えたため、窓から庭の様子を伺った。

するとそこには、庭の花壇の前に集めてあった落ち葉に果敢にスライディングを決めるクロネコチン・半野良黒猫・2歳の姿が。Sは「あらクロネコチン、ごきげんね」と目を細めてその様子を見守ったが、飼い犬Rは以前警戒する姿勢を崩そうとしなかったため、不信感を抱き、クロネコチンの手元をよく観察することにした。

数分間に及ぶ観察の結果、クロネコチンは落ち葉で遊んでいたわけではなく、なにか固形物を床で転がして(及びすっ飛ばして)遊んでいることが分かった。それはもう一心不乱かつ縦横無尽に、たったひとりで庭を飛び回るそのどこか常軌を逸したクロネコチンの様子に、なにかいやな予感がしたSはそこで調査を打ち切り、モップがけに戻るが、飼い犬Rは依然として窓から離れず、不機嫌そうな唸り声を上げ続けた。

モップがけを終えてもなにかを訴えるような飼い犬Rの視線に意を決したSは庭の明かりのスイッチを入れて玄関を開けた。果たしてSがそこで見たものとは。

子ネズミじゃあああああああああ

ジャマすんな!という顔(ウソ。絶対注目浴びたかったに決まってる)のクロネコチンは「フン!」という様子で俺を見上げて、ネズミの死体の前でオスワリ。俺は力なく「あーあーあーあー」とつぶやきながら玄関のドアを閉めたとさ。

食ってくれー、全部残らず食ってくれー、と唸りながら台所を片付けて、リビングに戻ったらりょーがまだ玄関の前にいてピープー言い。 「まさかまだ死んだ子ネズミをパートナーにして死のダンスを踊り狂っているのかいあの血に飢えた呪いの黒猫は」と言いながら窓からそっと覗いたら、玄関の前に座るクロネコチンの横シルエットが見えて、街灯の灯りで妖艶に浮かび上がったその端正な横顔は、

「あーうめー。ネズミは子ネズミに限る」

と言っていたよ!!!

ギャー!!! 食ってーら!!! しばらく触らないわよクロネコチン!!!

ところで途中まで文章がインチキ冒頭陳述調なのは、逆転裁判のせいです。それについては下記を参照↓