雑種タクシー

朝乗ったタクシーのオバチャンが土狗飼ってておもしろかった。

ATの場所を告げたらそんなとこ何しに行くんだと訊かれたので、野良犬収容所で義工してると答えて始まった犬会話。土狗に歴史あり。

「タクシーの無線待合所に来た子犬で、すっごいぶさいくなんだけど、餌あげたらなついたのよー。あたしが来ると喜んでね。夏場は洗ってあげたりしてね。そのうち台風の季節になったら、あの子だいじょうぶかなって心配で、かわいそうだから家につれて帰ったの。そしたら娘が、こんなぶさいく返して来いって言うのよ。しょうがなく返したんだけど、その晩は心配で眠れなくてね… そしたら娘が折れて『もうわかったわよ!連れてきなさいよ!』って、二度目にちゃんとうちの子になれたのよう」

よかったねー見知らぬ犬!!! でも台湾人の会話には、思わぬところにバッドエンディングが潜んでいるのが常なので、恐る恐る、その犬いまもいるんですかって訊いたら、もう3年半になるって。よかった!

オバチャンは孫の手で犬を叩いて叱るんだって。あんたは叩くかと訊かれたので、あたしは大声です、叩くのはちょっとって言ったら

「痛くないように孫の手で叩くのよ!5回ぶつの。娘は『犬叩くのやめなさいよー犬だからわかんないわよー』って言うんだけど、しつけだから!でもたとえば家を荒らして叱るでしょ、孫の手持つと、ああ怒られるってすごい神妙にするのよ!それで5回叩くでしょ、もう悪さしないのよって孫の手を元の場所に戻すと、うちの犬、いきなりどーんって両手で、後ろを見せてるあたしのお尻を叩くのよ!お尻なのよ!仕返しするの!悪い犬なのよー!」

超うれしそうに言うのでした。その犬超おかしい。オバチャンも超おかしいけど。ふたりで延々、土狗礼賛でした。でもオバチャンはトークの端々に、「ぶさいくなのうちの犬」と言うのがおかしかった。それを言うときだけ真顔で。もうどんだけぶさいくなのかと。でも犬のことを何度も何度も賢い賢いって言ってて、愛してる様子がすごくわかって、朝からいい気持ちになれたよん。