月子の俺

月子はふしぎがいっぱい。

 サンドイッチ…

中華な大同椀を開けたらサンドイッチが入っていた衝撃。しかもよく見てください。具、目玉焼きです。そして中央に挟まっている具、ふかし芋です…。マーガリンやバターのたぐいは耳クソほどもついてないです。素の食パンです。衝撃の後に衝撃。

月子メシはもううんざりだ、月子メシルールに則った中華以外のなにかも出せや、バラエティ見せろやって思ってたけど俺が間違ってた。余計なことをするなと本気で思った。みなさんは、あれはいやだこれは食えないとダメ出ししたら余計にひどいことになった俺の轍を踏まれませんよう。
そして月子ではめったにいないであろう脱走犯に対する態度は、いささか冷ややか。

乳が痛かったとき授乳をストップして搾乳してたんですけどそこへ来たベテラン看護婦が「あら搾乳してるの?」と。乳が痛くて、と言おうとしたら「お出かけしてたから?」と、なんかいやな姑みたいな眼光で言われた。「どこも出かけてないっすよ」とむっとして言い返すと「あら私見た気がしたわよエレベーターホールで…」「1階の郵便局にATM使いに行ってただけですよ」今回は非常におとなしくしてるんですけどね!!!

あとランチ食ってたら入ってきた若い看護婦にマイ醤油を見咎められた。

「醤油じゃないですか…!」「えっ。ああ、だって味がうすいんですもの」「母乳のためなのに…」えーそうだったの?月子メシって更年期のためだと思ってた。あと出産で失ったなんかを「補」するためだとばかり。ちなみに母乳の出や品質と食生活は特に関係ないって俺の主治医は言ってたぜ!ケーキだろうがアブラっぽいものだろうが好きなもの食えばーって言われたぜ!コーヒーも飲んでるってバレたら出禁かもしれん

月子の看護婦は看護師資格は持ってるんだろうけど月子では医療行為は行えませんから、血圧と体温測るくらいしかできません。今回それを知ってる俺は看護婦のいろんなマユツバアドバイスを右から左に聞き流しまくったばかりかなんかのアンケートも面倒でぶっちぎってるし、看護婦には印象が悪いかもね。

でもハウスキーピング関係者には評判が良かったことがわかった。食事を運んでくれるスタッフがニコニコで「私たちみんなあなたの部屋に来るのが大好きなのよ〜」耳を疑ったよ。「はっ?!」と驚く俺に「お部屋の飾り付けがカワイくて楽しいし〜、そのうえ乾浄だから!

乾浄…?たしかに俺の部屋はむーの先学期の美術作品やむーの誕生日に飾りつけたビヨンビヨンするカーズのデコレーションでちょっと派手だけど、乾浄って?掃除してるのはあなた方だろうに。他の部屋、そんなに汚れてんのか?思わぬ好かれ方に非常に衝撃を受けました。

あたしの部屋は誰も泊まんないからなあ。こんだけひとり暮らしな月子客も珍しいだろうな。むー泊まると思ったら別れが辛いと言いやがってろくに会いに来てもくれません。元取れなかったわ