りょーが公園で

りょーが褒められると身悶えしたくなるほどうれしいのですがぐっと堪えてポーカーフェイスを貫くのは容易なことではありません。
子供を褒められてもそこまでうれしくない。りょーだともうデレッデレになります。先日も公園に行ったら写生の課外授業に来ていた美術学校の学生がふらりふらりとりょーを追い回し、なんだろう…と不審に思ってたら俺んとこに来て「あれはあなたの犬か。珍しいし美しいので写真に撮らせてほしいと言われましてね…。もう俺

あっはっはっは!お目が高い!わかりますか!あの子の良さがっ!いや〜貴方とはいいお友達になれそうだあ〜!

くらいの勢いなんですけどそこは赤子を背負った大人ですから涼しい顔で「あらそうですか?じゃあ呼びますよ」とりょーを呼び、そばに座らせ、ひとしきり写真を撮らせ、なでさせたりなんかしてから「よろしいですか?」なんつって、「ありがとうございました」なんて言われて、

いやいやいやいやあっはっはっは写真くらい減るもんじゃなしいっくらでも撮ってくださいよあっはっはっはそれにしても貴方も奇特な方だあ〜他人の犬を写真に撮りたいだなんて!いやいやわかりますようちのりょーはちょっと と。 く。 べ。 つ。 な犬ですからね!いませんよねこんな犬ね!うっつくしいでしょおう〜?ちょっと皮膚病ですけどねこれはあたしが悪いんです!ちゃんと死ぬ気で治療をしないあたしが!こんなステキ犬をこんな状態にさせているあたしの責任!この子はもっともっと美しいんですよ!いまはトップコンディションじゃないんです!この子はこんなもんじゃない!それでも他人が写真に撮りたがるほどですからやっばいですよね〜〜〜!

ってなもんですが、そこは三十路をとう過ぎた常識ある大人ですからすました顔で「いえいえ…」なんつって立ち去るのですよ明智君。

りょーの外見に関する賛辞だけではありません。先日お友達としゃべっていてふと「昨日りょー叱ったらさー」と言ったらお友達が「りょーちゃんあんなにいい子なのに叱ることあるの?」なんて言ってくれちゃってもう俺うれしすぎショックで内心クチぱくぱくさせちゃってアワワワワってかんじででもそれやったらもう遊んでもらえないかもだから無表情で「いやあいつひどいんだよ…」なんて眉間に皺を寄せて深刻ぶりながらちょっと捏造をくわえたりょーの些細な失態を暴露したりして複雑!複雑なの俺のりょーへの想いは!