ホクロハラスメント

まずはこの写真をご覧ください。

 ニッコ〜〜〜
 だいすき〜〜〜

これは息子が外出先で俺にホクロハラスメントをしているところです。
むーは俺の左腕内側にあるホクロに異様に執着していましてね。いつからかなあ、断乳終わってしばらくしてから顕著になったかなあ。最初は爪立てていじるから怒ってやめさせてたんだけど、知恵ついてからフェザータッチを習得しやがって、痛くないから相対的に怒れなくなって、あと明け方とか寝こみを襲われると拒否って泣かれたらそっちのほうが面倒だから、なし崩し的に解禁ってかんじで…。俺の一貫性のなさが息子の異様な性癖を確立させるに至ったんですけど…

これいつまで続くのかな。ママテンとか読んでるとちょっとヤバそうだよ。焦った俺はむーが言葉を覚え始めたのをいいことに、ホクロに変な名前をつけることにしました。外で呼んで他人に笑われたりして恥ずかしいと思ったらやめるんじゃないかと。保険です。保険をかけたのです。命名「プリプリちゃん」

ところがこれが裏目に出ましてねー…。愛着が湧いちゃったようで、連呼っすよ。ふとホクロが見えただけでもニッコ〜〜〜ッと笑って「ぷいぷいちゃあん…」。そっと指先で触れたりして。変態だーーー!!! 泣

もうマジ泣ける。公衆の面前で息子にホクロを嬲られたところでどーってことありませんけど、夜中とか、ホクロハラスメントから逃れようとする俺を、いや俺の腕を逃すまいと腕ひしぎキメられた状態で触られまくることのうざいことうざいことっ!!! 朝起きたら筋伸びて痛ぇし!!! 左は抱っこの腕なんでほんとやばい!!! しかもこれは育児に要らない痛みだ!!! 息子がたまたま変態だったから、俺にたまたま変なホクロがあるからってこれじゃ俺がかわいそうだ!!! これから冬だ!!! そうそう腕出して触らしてらんねえ!!! 遠ざけねば!!!

とゆうことで手始めに、夜はホクロ拒否することにしました。断乳より難しいなんて誰が思った?ハイハイハーイ!俺俺!甘く見てたーーー!!! むー号泣!!! なまじしゃべれるようになったからピンポイントでホクロを要求!!! 「うわああああああー!!! ぷぅっ、ぷいぷいちゃああああ、ぷいぷいちゃあああああん!!!」 俺隣で背中向けて無音で大爆笑!!! でも笑ってる場合じゃねえ。泣かせすぎるとなんで泣いてたのか忘れるしな。頭を使え、俺。ホクロには触れないと納得させるんだ。

「むー、プリプリちゃん、おうちに帰ったよ。明日また来るって」

その設定は受け入れられませんでした。息子の目に一瞬戸惑いの色が浮かび、直後また号泣。なんだよ!断乳とか「オッパイバイバーイ」とか言ってやめさすんじゃねえのかよ!ホクロを求めて泣く息子があまりにもアレで俺また爆笑するも気を取り直して

「わかったよ!じゃあママ、プリプリちゃんにお電話すっから!」

え…?プリプリちゃんにお電話…?と疑いの表情で泣くのをやめる息子。アンパンマンのおもちゃについてきた電話を耳に当てる俺。 「あーもしもしプリプリちゃん?むーのママですけどおー。いまおうちですよね? 『(俺裏声)はいおうちです☆』ですよねー、いやむーがね、プリプリちゃんに会いたいって泣いててさあ 『(俺裏声)そうなんですか…。でももうお外は真っ暗だから…いまから行くのは…』だよねー。悪いけどプリプリちゃんからむーに一言いいかな?はいむー電話っプリプリちゃん!」 おずおずと電話を耳に当てるむー。 『(俺裏声)もしもしむーちゃん?あたしプリプリちゃん』真剣な表情でうなずくむー「…うん…」  『(俺裏声)むーちゃんあたしに会いたいのね?でもごめんね、もうお外まっくらだから、また明日遊びましょう?」「…うん…」「『(俺裏声)明日むーちゃんのおうちに行くからね☆ママのいうこと聞いて、はやくねんねしてね☆おやすみなさい!バイバーイ!』」「ばばーい…」「よしっ、そんじゃ寝っか!」 →息子号泣。なんなんだよ!小芝居まで打ったのに!おまえも乗ってたじゃねえかよ!

というわけですっごい苦労してます。ホクロのせいで。ホクロ。ねえホクロですよ?とんだダークホースですよ。生まれた時からそこにあって見慣れた仲のこのホクロが俺を、三十路も過ぎて子宝に恵まれたそのあとで俺をこんなかたちで苦しめようとは。まったく人生わからないことばかりですよ。